後藤千恵

40年から50年後の世界はどうなるのか、今年、そんな長期予測が相次いで発表されました。OECDが先月発表した長期的な世界経済の見通し。世界に占める日本のGDPの比率、各国の物価を考慮して比較しますと、2060年には今の半分以下の3%程度となり、経済大国の座を譲り渡すと予測しています。 一方、今から50年前、まだ戦後の復興途上だった日本が、50年後には経済大国にのし上がると予測したイギリスの政治経済誌「エコノミスト」。今年、発表した長期予測「2050年の世界」の中に日本の記述はほとんどありません。あるのは、「世界の中で日本は急速に存在感を失う」という言葉です。 いま、年収が200万円以下の給与所得者が1000万人を超えています。貯蓄のない世帯は二人以上の世帯で4分の1、単身世帯では3分の1に上ります。失業したり、大きな病気をしたり、何かのきっかけで突然、困窮してしまう、そんなギリギリの暮らしをしている世帯が多いのです。 35歳未満の若い世代で非正規雇用の人はおよそ400万人。国民年金保険料を払っていない人が半数に上ります。払わないのではなく、払えないという人が多くいます。「結婚したくでもできない・子どもを産み育てられない」という人も増えています。現役世代が働いて、税金や保険料を払うことで成り立つ社会保障制度。その根幹が揺らいでいるのです。